【新改訳2017

 

Ⅱサムエル 1章

 

 

1:1 サウルが死んだとき、ダビデはアマレク人を打ち破って帰って来ていた。その後ダビデは二日間、ツィクラグにとどまっていた。

 

 

1:2 すると三日目に、見よ、一人の男がサウルのいた陣営からやって来た。衣は裂け、頭には土をかぶっていた。彼はダビデのところに来ると、地にひれ伏して礼をした。

 

 

1:3 ダビデは言った。「どこから来たのか。」彼は言った。「イスラエルの陣営から逃れて来ました。」

 

 

1:4 ダビデは彼に言った。「状況はどうか。話してくれ。」彼は言った。「兵たちは戦場から逃げ、しかも兵たちの多くの者が倒れて死にました。それに、サウルも、その子ヨナタンも死にました。」

 

 

1:5 ダビデは、報告をもたらしたその若い者に言った。「サウルとその子ヨナタンが死んだことを、どのようにして知ったのか。」

 

 

1:6 報告をもたらしたその若い者は言った。「私は、たまたまギルボア山にいましたが、見ると、サウルは自分の槍にもたれ、戦車と騎兵が押し迫っていました。

 

 

1:7 サウルが振り返って、私を見て呼びました。私が『はい』と答えると、

 

 

1:8 私に『おまえはだれだ』と言いましたので、『私はアマレク人です』と答えますと、

 

 

1:9 『さあ、近寄って、私を殺してくれ。激しいけいれんが起こっているが、息はまだ十分あるから』と言いました。

 

 

1:10 私は近寄って、あの方を殺しました。もう倒れて生き延びることができないと分かったからです。私は、頭にあった王冠と、腕に付いていた腕輪を取って、ここに、あなた様のところに持って参りました。」

 

 

1:11 ダビデは自分の衣をつかんで引き裂いた。ともにいた家来たちもみな、そのようにした。

 

 

1:12 彼らは、サウルのため、その子ヨナタンのため、また【主】の民のため、イスラエルの家のために悼み悲しんで泣き、夕方まで断食した。サウルらが剣に倒れたからである。

 

 

1:13 ダビデは自分に報告したその若い者に言った。「おまえはどこの者か。」彼は言った。「私はアマレク人で、寄留者の子です。」

 

 

1:14 ダビデは彼に言った。「【主】に油注がれた方に手を下して殺すのを恐れなかったとは、どうしたことか。」

 

 

1:15 ダビデは家来の一人を呼んで言った。「これに討ちかかれ。」彼がその若い者を討ったので、若い者は死んだ。

 

 

1:16 ダビデは若い者に言った。「おまえの血は、おまえの頭上に降りかかれ。おまえ自身の口で、『私は【主】に油注がれた方を殺した』と証言したのだから。」

 

 

1:17 ダビデは、サウルのため、その息子ヨナタンのために、次の哀歌を歌った。

 

 

1:18 これはユダの子らに弓を教えるためのもので、『ヤシャルの書』にまさしく記されている。

 

 

1:19 「イスラエルよ、君主はおまえの高き所で殺された。ああ、勇士たちは倒れた。

 

 

1:20 これをガテに告げるな。アシュケロンの通りに告げ知らせるな。ペリシテ人の娘らを喜ばせないために。無割礼の者の娘らが喜び躍ることがないために。

 

 

1:21 ギルボアの山よ。高原の野よ。おまえたちの上に、露は降りるな。雨も降るな。そこでは勇士たちの盾が汚され、サウルの盾に油も塗られなかったからだ。

 

 

1:22 殺された者の血から、勇士たちの脂から、ヨナタンの弓は退くことがなく、サウルの剣も、空しく帰ることがなかった。

 

 

1:23 サウルもヨナタンも、愛される、立派な人だった。生きているときも死ぬときも、二人は離れることはなく、鷲よりも速く、雄獅子よりも強かった。

 

 

1:24 イスラエルの娘たちよ、サウルのために泣け。サウルは、紅の衣を華やかにおまえたちに着せ、おまえたちの装いに金の飾りを着けてくれた。

 

 

1:25 ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンはおまえの高き所で殺された。

 

 

1:26 あなたのために私はいたく悲しむ。私の兄弟ヨナタンよ。あなたは私を大いに喜び楽しませ、あなたの愛は、私にとって女の愛にもまさって、すばらしかった。

 

 

1:27 ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器は失せた。」