1:1 ヨシュアの死後(しご)、イスラエルの子らは【(しゅ)】に(たず)ねた。「だれが(わたし)たちのために最初(さいしょ)(のぼ)って()って、カナン(じん)(たたか)うべきでしょうか。」

1:2 すると、【(しゅ)】は()われた。「ユダが(のぼ)って()くべきである。()よ、わたしはその()(かれ)()(わた)した。」

1:3 ユダは自分(じぶん)兄弟(きょうだい)シメオンに()った。「(わたし)一緒(いっしょ)に、(わたし)割り当(わりあ)てられた()(のぼ)ってください。(わたし)たちはカナン(じん)(たたか)うのです。(わたし)も、あなたに()()てられた()一緒(いっしょ)()きます。」そこでシメオンは(かれ)一緒(いっしょ)()った。

1:4 ユダが(のぼ)って行くと、【(しゅ)】はカナン人とペリジ(じん)(かれ)らの()(わた)されたので、(かれ)らはベゼクで一万人(いちまんにん)()()った。

1:5 (かれ)らはベゼクでアドニ・ベゼクに出会(であ)い、(かれ)(たたか)ってカナン(じん)とペリジ(じん)()った。

1:6 ところが、アドニ・ベゼクが()げたので、(かれ)らは(あと)()って()らえ、その両手(りょうて)両足(りょうあし)親指(おやゆび)()()とした。

1:7 アドニ・ベゼクは()った。「かつて、両手(りょうて)両足(りょうあし)親指(おやゆび)切り落(きりお)とされた七十人(ななじゅうにん)(おう)たちが、(わたし)食卓(しょくたく)(した)でパン(くず)拾い集(ひろいあつ)めていたものだ。(わたし)がしたとおりに、(かみ)(わたし)(むく)いを(かえ)された。」(かれ)らはアドニ・ベゼクをエルサレムに連れて(つれて)行き(いき)(かれ)はそこで()んだ。

1:8 ユダ(ぞく)は、エルサレムを()めてこれを()り、(けん)(やいば)討って(うって)(まち)()放った(はなった)

1:9 その()、ユダ(ぞく)は、山地(さんち)やネゲブやシェフェラに()んでいるカナン(じん)戦う(たたかう)ために下って(くだって)行った(いった)

1:10 ユダはヘブロンに()んでいるカナン(じん)攻めた(せめた)。ヘブロンの()は、かつてはキルヤテ・アルバであった。(かれ)らはシェシャイとアヒマンとタルマイを討っ(うっ)た。

1:11 (かれ)らは、そこから(すす)んでデビルの住民(じゅうみん)攻めた(せめた)。デビルの()は、かつてはキルヤテ・セフェルであった。

1:12 そのときカレブは()った。「キルヤテ・セフェルを討って(うって)、これを攻め取る(せめとる)(もの)に、(わたし)(むすめ)アクサ(つま)として(あた)えよう。」

1:13 カレブの同族(どうぞく)ケナズの()オテニエルがそれを()()ったので、カレブは(むすめ)アクサを(かれ)(つま)として(あた)えた。

1:14 (とつ)ぐとき、彼女(かのじょ)(おっと)に、自分(じぶん)(ちち)(はたけ)(もと)めるよう、しきりに(うなが)した。彼女(かのじょ)がろばから()りると、カレブは「(なに)()しいのか」と彼女(かのじょ)()った。

1:15 アクサは(かれ)()った。「どうか(わたし)にお(いわ)いを(くだ)さい。ネゲブの()(わたし)(くだ)さるのですから、()(みず)(くだ)さい。」そこでカレブは(うえ)(いずみ)(した)(いずみ)彼女(かのじょ)与えた(あたえた)

1:16 モーセのしゅうとがその一族(いちぞく)であるケニ(じん)たちは、ユダ(ぞく)一緒(いっしょ)に、なつめ椰子(やし)(まち)からアラドの(みなみ)にあるユダの荒野(こうや)(のぼ)って()き、そこの(たみ)とともに()んだ。

1:17 ユダは兄弟(きょうだい)シメオンと一緒(いっしょ)()って、ツェファテに()んでいたカナン(じん)()ち、それを聖絶(せいぜつ)し、その(まち)にホルマという()をつけた。

1:18 ユダは、ガザとその地域(ちいき)、アシュケロンとその地域(ちいき)、エクロンとその地域(ちいき)攻め取(せめと)った。

1:19 (しゅ)】がユダとともにおられたので、ユダは山地(さんち)占領(せんりょう)した。しかし、平地(へいち)住民(じゅうみん)(てつ)戦車(せんしゃ)()っていたので、ユダは(かれ)らを()(はら)えなかった。

1:20 モーセが約束(やくそく)したとおり、ヘブロンはカレブに(あた)えられ、カレブはそこからアナクの三人(さんにん)息子(むすこ)追い払った(おいはらった)

1:21 エルサレムに()んでいるエブス(じん)(かん)しては、ベニヤミン(ぞく)がこれを追い払(おいはら)わなかったので、エブス(じん)今日(こんにち)までベニヤミン(ぞく)とともにエルサレムに()んでいる。

1:22 ヨセフの一族(いちぞく)もまた、ベテルに上っ(のぼって)()った。【(しゅ)】は(かれ)らとともにおられた。

1:23 ヨセフの一族(いちぞく)はベテルを(さぐ)った。この(まち)()は、かつてはルズであった。

1:24 見張り(みはり)(もの)たちは、その(まち)から出て(でて)来た(きた)(ひと)見て(みて)()った。「この(まち)(はい)るところを(おし)えてほしい。そうすれば(わたし)たちも、あなたに誠意(せいい)()くすから。」

1:25 (かれ)(まち)出入り口(でいりぐち)(おし)えたので、彼ら(かれら)(けん)(やいば)でこの(まち)()った。しかし、その(ひと)とその氏族(しぞく)(もの)はみな自由(じゆう)にしてやった。

1:26 その(ひと)はヒッタイト(びと)()行って(いって)(まち)()て、その()をルズと()んだ。これが今日(こんにち)までその()である。

1:27 マナセは、ベテ・シェアンとそれに属する(ぞくする)村々(むらむら)、タアナクとそれに属する(ぞくする)村々(むらむら)、ドルの住民(じゅうみん)とそれに属する(ぞくする)村々(むらむら)、イブレアムの住民(じゅうみん)とそれに属する(ぞくする)村々(むらむら)、メギドの住民(じゅうみん)とそれに属する(ぞくする)村々(むらむら)占領(せんりょう)しなかった。それで、カナン(じん)はその土地(とち)()(つづ)けた。

1:28 イスラエルは(つよ)くなったとき、カナン(じん)苦役(くえき)(ふく)させたが、彼ら(かれら)完全(かんぜん)追い払(おいはら)うことはしなかった。

1:29 エフライムはゲゼルの住民(じゅうみん)であるカナン(じん)追い払(おいはら)わなかったので、カナン(じん)はゲゼルで(かれ)らのただ(なか)()んだ。

1:30 ゼブルンはキテロンの住民(じゅうみん)とナハロルの住民(じゅうみん)追い払(おいはら)わなかったので、カナン(じん)(かれ)らのただ(なか)住み(すみ)苦役(くえき)(ふく)した。

1:31 アシェルはアッコの住民(じゅうみん)やシドンの住民(じゅうみん)、またアフラブ、アクジブ、ヘルバ、アフィク、レホブの住民(じゅうみん)追い払(おいはら)わなかった。

1:32 それで、アシェル(じん)は、その土地(とち)()むカナン(びと)のただ(なか)()んだ。カナン(じん)追い払(おいはら)わなかったのである。

1:33 ナフタリはベテ・シェメシュの住民(じゅうみん)やベテ・アナトの住民(じゅうみん)追い払(おいはら)わずに、その()()()むカナン(びと)のただ(なか)()んだ。しかし、ベテ・シェメシュとベテ・アナトの住民(じゅうみん)は、(かれ)らのために苦役(くえき)(ふく)した。

1:34 アモリ(じん)はダン(ぞく)山地(さんち)()いつめ、平地(へいち)()りることを(ゆる)さなかった。

1:35 こうしてアモリ(じん)は、ハル・ヘレス、アヤロン、そしてシャアルビムに住み続(すみつづ)けたが、ヨセフの一族(いちぞく)勢力(せいりょく)()すと、彼ら(かれら)苦役(くえき)(ふく)した。

 

1:36 アモリ(じん)領地(りょうち)は、アクラビムの(さか)からセラを経た(へた)(うえ)(ほう)であった。

2:1 【主】の使いがギルガルからボキムに上って来た。そして言った。「わたしはあなたがたをエジプトから上らせて、あなたがたの父祖たちに誓った地に連れて来て言った。『わたしはあなたがたと結んだわたしの契約を決して破らない。

2:2 あなたがたは、この地の住民と契約を結んではならない。彼らの祭壇を打ち壊さなければならない。』ところが、あなたがたはわたしの声に聞き従わなかった。なぜこのようなことをしたのか。

2:3 それでわたしも言う。『わたしはあなたがたの前から彼らを追い払わない。彼らはあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたにとって罠となる。』」

2:4 【主】の使いがこれらのことばをイスラエルの子ら全体に語ったとき、民は声をあげて泣いた。

2:5 彼らはその場所の名をボキムと呼んで、その場所で【主】にいけにえを献げた。

2:6 ヨシュアが民を送り出したので、イスラエルの子らはそれぞれ土地を占領しようと、自分の相続する地へ出て行った。

2:7 ヨシュアがいた間、また、【主】がイスラエルのために行われたすべての大いなるわざを見て、ヨシュアより長生きした長老たちがいた間、民は【主】に仕えた。

2:8 【主】のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。

2:9 人々は彼をガアシュ山の北、エフライムの山地にある、彼の相続地の領域にあるティムナテ・ヘレスに葬った。

2:10 その世代の者たちもみな、その先祖たちのもとに集められた。そして彼らの後に、【主】を知らず、主がイスラエルのために行われたわざも知らない、別の世代が起こった。

2:11 すると、イスラエルの子らは【主】の目に悪であることを行い、もろもろのバアルに仕えた。

2:12 彼らは、エジプトの地から自分たちを導き出した父祖の神、【主】を捨てて、ほかの神々、すなわち彼らの周りにいるもろもろの民の神々に従い、それらを拝んで、【主】の怒りを引き起こした。

2:13 彼らが【主】を捨てて、バアルとアシュタロテに仕えたので、

2:14 【主】の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らを略奪する者の手に渡して略奪されるままにし、周りの敵の手に彼らを売り渡された。彼らはもはや、敵に立ち向かうことができなかった。

2:15 彼らがどこへ行っても、【主】の手は彼らにわざわいをもたらした。【主】が告げ、【主】が彼らに誓われたとおりであった。彼らは大いに苦しんだ。

2:16 そのとき、【主】はさばきつかさを起こして、略奪する者の手から彼らを救われた。

2:17 ところが、彼らはそのさばきつかさにも聞き従わず、ほかの神々を慕って淫行を行い、それらを拝んだ。彼らの先祖が【主】の命令に聞き従って歩んだ道から早くも外れて、先祖たちのようには行わなかった。

2:18 【主】が彼らのためにさばきつかさを起こしたとき、【主】はさばきつかさとともにおられ、そのさばきつかさが生きている間、彼らを敵の手から救われた。これは、圧迫し、虐げる者を前にして彼らがうめいたので、【主】があわれまれたからである。

2:19 しかし、さばきつかさが死ぬと、彼らは元に戻って先祖たちよりもいっそう堕落し、ほかの神々に従い、それらに仕え、それらを拝んだ。彼らはその行いや、頑なな生き方から離れなかった。

2:20 そのため、【主】の怒りがイスラエルに向かって燃え上がった。主は言われた。「この民は、わたしが彼らの先祖たちに命じたわたしの契約を破り、わたしの声に聞き従わなかったから、

2:21 わたしもまた、ヨシュアが死んだときに残しておいたいかなる異邦の民も、彼らの前から追い払わない。

2:22 これは、先祖たちが守ったように、彼らも【主】の道を守って歩むかどうか、これらの国民によってイスラエルを試みるためである。」

 

2:23 こうして、【主】はこれらの異邦の民をただちに追い払うことをせずに残しておき、ヨシュアの手に渡されなかったのである。

3:1 次が、【主】が残しておかれた異邦の民である。主がそうされたのは、カナンでの戦いを全く知らないすべてのイスラエルを試みるためであり、

3:2 ただ、イスラエルの次世代の者、特にまだ戦いを知らない者たちに、戦いを教え、知らせるためであった。

3:3 すなわち、ペリシテ人の五人の領主たち、またすべてのカナン人、シドン人、そしてヒビ人である。ヒビ人は、バアル・ヘルモン山からレボ・ハマテにまで及ぶレバノンの山地に住んでいた。

3:4 これは、彼らによってイスラエルを試み、【主】がモーセを通して先祖たちに命じた命令に、イスラエルが聞き従うかどうかを知るためであった。

3:5 イスラエル人は、カナン人、ヒッタイト人、アモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人のただ中に住み、

3:6 彼らの娘を自分たちの妻とし、また自分たちの娘を彼らの息子に与えて、彼らの神々に仕えた。

3:7 こうしてイスラエルの子らは、【主】の目に悪であることを行い、彼らの神、【主】を忘れて、もろもろのバアルやアシェラに仕えた。

3:8 【主】の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らをアラム・ナハライムの王クシャン・リシュアタイムの手に売り渡されたので、イスラエルの子らは八年の間、クシャン・リシュアタイムに仕えた。

3:9 イスラエルの子らが【主】に叫び求めたとき、【主】はイスラエルの子らのために一人の救助者を起こして、彼らを救われた。それはカレブの同族ケナズの子オテニエルである。

3:10 【主】の霊が彼の上に臨み、彼はイスラエルをさばいた。彼が戦いに出て行くと、【主】はアラムの王クシャン・リシュアタイムを彼の手に渡されたので、彼の手はクシャン・リシュアタイムを抑えた。

3:11 国は四十年の間、穏やかであった。こうして、ケナズの子オテニエルは死んだ。

3:12 イスラエルの子らは、【主】の目に悪であることを重ねて行った。そこで【主】はモアブの王エグロンを強くして、イスラエルに逆らわせた。彼らが【主】の目に悪であることを行ったからである。

3:13 エグロンはアンモン人とアマレク人を彼のもとに集め、イスラエルを攻めて打ち破った。彼らはなつめ椰子の町を占領した。

3:14 こうして、イスラエルの子らは十八年の間、モアブの王エグロンに仕えた。

3:15 イスラエルの子らが【主】に叫び求めたとき、【主】は彼らのために、一人の救助者を起こされた。ベニヤミン人ゲラの子で、左利きのエフデである。イスラエルの子らは、彼の手に託してモアブの王エグロンに貢ぎ物を送った。

3:16 エフデは長さ約一キュビトの両刃の剣を作り、それを衣の下、右ももの上に帯で締め、

3:17 モアブの王エグロンに貢ぎ物を携えて行った。エグロンはたいへん太った男であった。

3:18 貢ぎ物を献げ終わると、エフデは貢ぎ物を運んで来た者たちを見送り、

3:19 彼自身はギルガルのそばの石切り場のところから引き返して来て、こう言った。「王様、私はあなたに秘密のお知らせがあります。」すると王は「今は、言うな」と言ったので、そばに立っていた者たちはみな、彼のところから出て行った。

3:20 エフデが王のところに行くと、王は、屋上にある彼専用の涼しい部屋に一人で座していた。エフデが「あなたに神のお告げがあります」と言うと、王はその座から立ち上がった。

3:21 このとき、エフデは左手を伸ばし、右ももから剣を取り出して、王の腹を刺した。

3:22 柄も刃と一緒に入ってしまった。彼が剣を王の腹から抜かなかったので、脂肪が刃をふさいでしまった。エフデは小窓から出た。

3:23 エフデは廊下へ出て行き、屋上の部屋の戸を閉じた。このようにして、彼はかんぬきをかけた。

3:24 彼が出て行くと、王のしもべたちがやって来た。彼らが見ると、屋上の部屋にかんぬきがかけられていたので、彼らは「王はきっと涼み部屋で用をたしておられるのだろう」と思った。

3:25 しかし、いつまで待っても、王が屋上の部屋の戸を一向に開けようとしないので、しもべたちは鍵を取って戸を開けた。すると、なんと、彼らの主人は床に倒れて死んでいた。

3:26 エフデは、しもべたちが手間取っている間に逃れ、石切り場のところを通って、セイラに逃れた。

3:27 到着すると、彼はエフライムの山地で角笛を吹き鳴らした。イスラエルの子らは、彼と一緒に山地から下って行った。彼がその先頭に立った。

3:28 エフデは彼らに言った。「私の後について来なさい。【主】はあなたがたの敵モアブ人を、あなたがたの手に渡されたから。」そこで彼らはエフデの後について下り、モアブへ通じるヨルダン川の渡し場を攻め取って、一人もそこを渡らせなかった。

3:29 このとき彼らは約一万人のモアブ人を討ち取った。そのモアブ人はみな、頑強で、力のある者たちだったが、一人として逃れた者はいなかった。

3:30 こうして、モアブはその日イスラエルの手に下り、国は八十年の間、穏やかであった。

 

3:31 エフデの後にアナトの子シャムガルが起こり、牛を追う棒でペリシテ人六百人を打ち殺した。彼もまた、イスラエルを救った。

4:1 イスラエルの子らは、【主】の目に悪であることを重ねて行った。エフデは死んでいた。

4:2 【主】は、ハツォルを治めていたカナンの王ヤビンの手に彼らを売り渡された。ヤビンの軍の長はシセラで、ハロシェテ・ハ・ゴイムに住んでいた。

4:3 すると、イスラエルの子らは【主】に叫び求めた。ヤビンには鉄の戦車が九百台あり、そのうえ二十年の間、イスラエルの子らをひどく圧迫したからである。

4:4 ラピドテの妻で女預言者のデボラが、そのころイスラエルをさばいていた。

4:5 彼女は、エフライムの山地のラマとベテルの間にあるデボラのなつめ椰子の木の下に座し、イスラエルの子らは、さばきを求めて彼女のところに上って来た。

4:6 あるとき、デボラは人を遣わして、ナフタリのケデシュからアビノアムの子バラクを呼び寄せ、彼に言った。「イスラエルの神、【主】はこう命じられたではありませんか。『行って、タボル山に陣を敷け。ナフタリ族とゼブルン族の中から一万人を取れ。

4:7 わたしはヤビンの軍の長シセラとその戦車と大軍を、キション川のあなたのところに引き寄せ、彼をあなたの手に渡す』と。」

4:8 バラクは彼女に言った。「もしあなたが私と一緒に行ってくださるなら、行きましょう。しかし、もしあなたが私と一緒に行ってくださらないなら、行きません。」

4:9 そこでデボラは言った。「私は必ずあなたと一緒に行きます。ただし、あなたが行こうとしている道では、あなたに誉れは与えられません。【主】は女の手にシセラを売り渡されるからです。」こうして、デボラは立ってバラクと一緒にケデシュへ行った。

4:10 バラクはゼブルンとナフタリをケデシュに呼び集め、一万人を引き連れて上った。デボラも彼と一緒に上った。

4:11 ケニ人ヘベルは、モーセのしゅうとホバブの子孫のケニ人たちから離れて、ケデシュに近いツァアナニムの樫の木のそばで天幕を張っていた。

4:12 一方シセラに、アビノアムの子バラクがタボル山に登ったと知らされた。

4:13 シセラは自分の戦車すべて、すなわち鉄の戦車九百台と、彼と一緒にいた兵をみな、ハロシェテ・ハ・ゴイムからキション川に呼び集めた。

4:14 デボラはバラクに言った。「立ち上がりなさい。今日、【主】があなたの手にシセラを渡される。【主】があなたに先立って出て行かれるではありませんか。」そこで、バラクはタボル山から下り、一万人が彼の後に従った。

4:15 【主】は、シセラとそのすべての戦車とすべての陣営の者を、剣の刃をもってバラクの前で混乱させられた。シセラは戦車から飛び降り、自らの足で逃げた。

4:16 それでバラクは、戦車と陣営をハロシェテ・ハ・ゴイムまで追いつめた。こうして、シセラの陣営の者はみな剣の刃に倒れ、残された者は一人もいなかった。

4:17 しかし、シセラは自らの足でケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に逃げた。ハツォルの王ヤビンとケニ人ヘベルの家は友好関係にあったからである。

4:18 ヤエルはシセラを迎えに出て来て、彼に言った。「お立ち寄りください、ご主人様。私のところにお立ち寄りください。ご心配には及びません。」シセラが彼女の天幕に入ったので、ヤエルは彼を布でおおった。

4:19 シセラはヤエルに言った。「どうか、水を少し飲ませてくれ。喉が渇いているから。」ヤエルは乳の皮袋を開けて彼に飲ませ、また彼をおおった。

4:20 シセラはまた彼女に言った。「天幕の入り口に立っていてくれ。もしだれかが来て、ここにだれかいないかと尋ねたら、いないと言うように。」

4:21 だが、ヘベルの妻ヤエルは天幕の杭を取ると、槌を手にしてそっと彼に近づき、そのこめかみに杭を打ち込んで地に突き刺した。彼は疲れて熟睡していたのである。こうして彼は死んだ。

4:22 ちょうどそのとき、バラクがシセラを追って来たので、ヤエルは彼を迎えに出て言った。「おいでください。あなたが捜している人をお見せしましょう。」彼がヤエルのところに行くと、なんと、シセラが倒れて死んでおり、そのこめかみには杭が刺さっていた。

4:23 こうして神は、その日、イスラエル人の前でカナンの王ヤビンを屈服させた。

 

4:24 イスラエル人の勢力は、カナンの王ヤビンに対してますます強くなり、ついにカナンの王ヤビンを滅ぼすに至った。

5:1 その日、デボラとアビノアムの子バラクは、こう歌った。

5:2 「イスラエルでかしらたちが先頭に立ち、民が進んで身を献げるとき、【主】をほめたたえよ。

5:3 聞け、王たち。耳を傾けよ、君主たち。私、この私は【主】に向かって歌う。イスラエルの神、【主】にほめ歌を歌う。

5:4 【主】よ。あなたがセイルから出て、エドムの野から進んで行かれたとき、大地は揺れ、天も滴り、密雲も水を滴らせました。

5:5 山々は【主】の前に流れ去りました。シナイさえもイスラエルの神である【主】の前に。

5:6 アナトの子シャムガルの時代、またヤエルの時代に、隊商は絶え、旅人は脇道を通った。

5:7 農夫は絶えた。イスラエルに絶えた。私デボラが立ち、イスラエルに母として立ったときまで。

5:8 新しい神々が選ばれたとき、そのとき、戦いは門まで及んでいたが、イスラエルの四万人のうちに、盾と槍が見られただろうか。

5:9 私の心はイスラエルの指導者たちに、民のうちの進んで身を献げる者たちに向かう。【主】をほめたたえよ。

5:10 茶色の雌ろばに乗る者たち、敷き物の上に座す者たち、道を歩く者たちよ、語り伝えよ。

5:11 水飲み場で水を分ける者たちの声を聞いて。そこで彼らは【主】の義と、イスラエルにいる主の村人たちの義をたたえる。そのとき、【主】の民は城門に下って行った。

5:12 目覚めよ、目覚めよ、デボラ。目覚めよ、目覚めよ、歌声をあげよ。起きよ、バラク。捕虜を引いて行け、アビノアムの子よ。

5:13 そのとき、生き残った者は貴人のように下りて来た。【主】の民は私のところに勇士のように下りて来た。

5:14 エフライムからはその根がアマレクにある者が下りて来た。ベニヤミンはあなたの後に続いてあなたの民のうちにいる。マキルからは指導者たちがゼブルンからは指揮を執る者たちが下りて来た。

5:15 イッサカルの長たちはデボラとともにいた。イッサカルはバラクと同じく歩兵たちとともに平地に送られた。ルベンの諸支族の決意は固かった。

5:16 なぜ、あなたは二つの鞍袋の間に座って、羊の群れに笛吹くのを聞いていたのか。ルベンの諸支族の間には、深い反省があった。

5:17 ギルアデはヨルダンの川向こうにとどまった。ダンはなぜ船に残ったのか。アシェルは海辺に座り、その波止場のそばにとどまっていた。

5:18 ゼブルンは、いのちを賭して死をいとわぬ民。野の高い所にいるナフタリも。

5:19 王たちはやって来て戦った。そのとき、カナンの王たちは戦った。メギドの流れのそばのタアナクで。彼らが銀の分捕り品を取ることはなかった。

5:20 天から、もろもろの星が下って来て戦った。その軌道から離れて、シセラと戦った。

5:21 キション川は彼らを押し流した。昔からの川、キション川が。わがたましいよ、力強く進め。

5:22 そのとき、馬のひづめは地を踏み鳴らし、その荒馬は全力で疾走する。

5:23 【主】の使いは言った。『メロズをのろえ、その住民を激しくのろえ。彼らは【主】の手助けに来ず、勇士たちとともに、【主】の手助けに来なかったからだ。』

5:24 女の中で最も祝福されるのはヤエル、ケニ人ヘベルの妻。天幕に住む女の中で最も祝福されている。

5:25 シセラが水を求めると、彼女は乳を与え、高価な鉢で凝乳を差し出した。

5:26 ヤエルは杭を手にし、右手に職人の槌をかざしシセラを打って、その頭に打ち込み、こめかみを砕いて刺し貫いた。

5:27 彼女の足もとに彼は膝をつき、倒れ、横たわった。彼女の足もとに彼は膝をつき、倒れた。膝をついた場所で、倒れて滅びた。

5:28 窓から見下ろして、シセラの母は格子窓から見下ろして嘆いた。『なぜ、あれの車が来るのは遅れているのか。なぜ、あれの戦車の動きは鈍いのか。』

5:29 知恵のある女官たちは彼女に答え、彼女も同じことばを繰り返した。

5:30 『彼らは分捕り物を見つけ出し、それを分けているのではありませんか。勇士それぞれには一人か二人の娘を、シセラには染め織物を分捕り物として。分捕り物として、刺?した染め織物を、刺?した染め織物二枚を首に、分捕り物として。』

 

5:31 このように、【主】よ、あなたの敵がみな滅び、主を愛する者が、力強く昇る太陽のようになりますように。」こうして、国は四十年の間、穏やかであった。